幻獣図鑑 デュラハン

デュラハン Dullahan

良く知られているデュラハン像は、アイルランドでの姿が主流である。
古代ケルトの黒き神クロム・ダブが関係している首の無い騎士の妖精がそれだ。
 
片腕に自身の頭を抱え、空いた手には人間の背骨で出来た鞭を握っている。(画像は普通に馬の手綱を握っているものになります)また彼の頭は腐敗によって燐光を放ち暗闇の道を照らすと囁かれる。
コシュタ・バワーという首無しの黒い愛馬に曳かれた馬車で現れるのが常であり、目撃者の目を潰したり名を呼ぶ事で死すべき定めの者に死の予言を行う。時にはバンシーと連れ立って死の予告を行うらしい。また、戸口にとまり相手が出てきたら桶いっぱいの血を浴びせたりもする。クロム・ダブの祝祭が行われた時期に活動が活発になり、全ての門と鍵は彼の道程を阻まない。
唯一対抗する手段として、金製品を嫌う事が分かっているので金色の装飾品を身に着ければデュラハンを避ける事が出来る。
 
 
※クロム・ダブは、忌まわしき三日月クロム・クルアハとも関係しデュラハンの金製品への恐れや断頭といった要素に関連があるされる。
女騎士もいるとされるが、当方でも残念ながら資料が見つからなかった為、泣き女バンシー、あるいは狩猟団であるワイルドハントと混同されている説を推す。ワイルドハントはアメリカの首無し騎士のフォークロア、スリーピー・ホロウに影響を与えたらしい。ワイルドハントにはギリシャの女神ヘカテ―も頭目として参加している。
 
デュラハンに関連するものとしてイングランドの首無し騎士の話もここでは取り上げる
 
イングランドの首無し騎士ベルシラック(サー・ガウェインと緑の騎士から)
モルガン・ル・フェイに呪いを掛けられた騎士。
 
ベルラシックとはアーサー王物語で知られる、サー・ガウェインと交互に首を斬り合う断頭の勝負をし、先攻のガウェインに大鉈の一振りで頭を切り落とされた首無し騎士である。胴体から血を噴き出すも平然とした様子で切り落とされた頭を小脇に抱え、ガウェインへ断頭勝負の続きに時刻と場所を指定しその場を去った。
デュラハンとの共通点は頭を小脇に抱える事、通常なら確実に死ぬだろう一年後に指定した断頭勝負による死の宣告である。胴体から血を噴き出すのも、近距離にいただろうガウェインの被害を考えれば血を浴びせるという行動に一致するかもしれない。
最終的にガウェインはベルラシックが裏で糸を引く彼の妻の誘惑を拒み、自身の持つ礼儀正しさによって難を逃れる事になるが、もしベルラシックの妻に不貞を働くような事があったらその頭は胴体と二度とくっつく事はなかっただろう。
ここでの首無し騎士ベルラシックは、明確に男性で妻帯の騎士であり“緑の騎士”としての名が通っているので、デュラハンにくくるのは日本のろくろ首を飛頭蛮と一緒にしているのに近いかもしれない。
 
また興味深い事にウェールズに伝わるアーサー王伝説にはこれに似た話がある。
カラドックという騎士がガウェインと立場を入れ替えたような話なのである。
ただこちらの場合は断頭の勝負の相手はカラドックの父親であり、勝負の行方は父であり魔術師であるエレオ―レスがその身を明かす事によって収まる。カラドックの場合はこの後に悲惨な運命が待っているが、ここでは割愛する。因みに一言で表わせば『ケルトの英雄は女難』に尽きる。

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